両手いっぱいの花束をあなたに
「俺は、花音にこれ以上………」
「ほら、颯は早く練習戻らなきゃ?」
何かを言いかける颯を、柿原さんの言葉が遮った。
颯、やっぱり颯は……傍にいてって、言ってくれない。
私じゃダメ?
柿原さんじゃなくて、私が支えたいのに……。
こんな弱ってる颯を、見ている事しか出来ない。
「そちらさんが忙しいなら、もう行こうぜ」
「えっ……」
ーグイッ
黒崎くんに腕を引かれて、自然と黒崎くんに寄り添うような体制になる。
「お前っ……」
「文句言う資格、あんのかよ、チョコレート頭」
黒崎くんは、私を引き寄せたまま、颯を睨み付ける。
颯は、一瞬息をつまらせた。
「………花音は、俺の彼女だ」
「颯………」
そっか、良かった……。
私、まだちゃんと颯の彼女なんだ。
どこかで、颯が私と別れるって言ったらどうしようって、不安になってた。
何より、颯の口から聞きたかったんだよ…。