両手いっぱいの花束をあなたに
「悲しい顔させてるくせに、彼氏面かぁ!?ふざけんな、バカ、アホ、脳みそまでチョコレートか!!」
「く、黒崎くんっ!?」
「行くぞ、花音!!」
そう言って、黒崎くんは私をグイグイと引っ張った。
半ば引きずられるように、私は黒崎くんについていく。
「悲しい顔……させてんのは、分かってんだよ!!」
「颯っ!!」
背後で、悲痛に叫ぶ颯の声が聞こえた。
振り返って、颯に駆け寄ろうとした時……。
「大丈夫……颯の傍には、私がいるから」
「えっ……」
柿原さんは、颯を後ろからギュッと抱き締めている。
そして、それを颯も受け入れていた。
ーズキンッ、ズキンッ
つい最近までは、颯を思う度に、胸がトキメキで溢れてた。
なのに、今はすごく悲しくて、痛いんだ…。