両手いっぱいの花束をあなたに


「そーだ!三雲の野郎、いっつも俺の事バカ、バカって……って、そんな話はいいんだっつーの!!」


「ごめん、逸らしちゃって…それで?」


すると、黒崎くんは茜色に染まった空を見上げた。

あ……また、あの真剣な瞳。


「俺もさぁ、バスケでは誰にも負けた事無かったんだよなぁー」

「黒崎くん、すごく強いもんね」


黒崎くんは、颯と違った魅力がある。


軽やかでどちらかというと、色んな技を持ってる颯とは違って、黒崎くんは真っ直ぐで、小細工がない。


これは、颯が言ってた事だ。


「でも、中1の時、先輩の最後の試合、絶対に外しちゃいけねー所で、ミスした事があってよ」


「あっ……」


インターハイ予選で、ブザーが鳴ると同時に外れた颯のボール。

あの時の事を、ふと思い出した。




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