両手いっぱいの花束をあなたに
「ありがとうございました!」
「いいのよ、ホホッ………」
「ワンッ」
「お前も達者でいろよーっ!!」
そう言って、そそくさと帰るおばあさんを、黒崎くんは見送った。
私は改めて黒崎くんに向き直る。
「黒崎くん、これ……」
「ん!?これ、俺にかっ!?」
差し出す花束を、黒崎くんは驚いたように受けとる。
「これはね、私からの『感謝』の気持ち」
「感謝?俺、何もしてなくね?」
「黒崎くんは……私の大切な人を、助けようとしてくれた」
颯が、このままどん底に落ちないように、這い上がる為の言葉をくれた。
「それに、私の事を心配してくれたでしょ?これはね、カンパニュラ…『感謝』の花だよ」
「感謝………」
黒崎くんは、なぜか目に涙を浮かべて、花束を見つめる。
そして、顔を上げると、真っ直ぐに私を見つめた。