両手いっぱいの花束をあなたに


「花音の鈍感さには、驚いたぜ……。チョコレート頭、よく落とせたな……」


ブツブツと呟く黒崎くんに、私は笑う。


「颯の事を好きなのは……私の方だよ」


先に好きになってくれたのは颯。


だけど、今はたまらなく、颯が好き。


想いが溢れてきて、しょうがない。



「だけど……颯は、もう私から気持ちが離れちゃったかもしれない。でも、颯の力になりたいって気持ちは、変わらないんだ」



「チョコレート頭は、花音の事好きに決まってんじゃねーか!見てりゃ、分かる」


「そうかな……?」


そうだといいな……。

でも、たとえ颯が私を好きじゃなくなっても、颯の事を想うよ。

もう、引き返せないくらいに大切な人になっちゃったから。











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