両手いっぱいの花束をあなたに
10.ワスレナグサ
黒崎くんと会ってから数日。
移動教室で、美緒とつっくんと廊下を歩いていた。
「あれから、颯くんとは話せてるの?」
「ううん、実は、部活見に行ったりしたんだけど、颯の事、なかなか見つからなくて……」
部活には来てるはずなのに、颯がいない。
もしかして、私がこっそり見に行ってるのに気づいて、隠れてる??
いやいや弱気になっちゃダメ。
颯の力になるって、決めたんだもん。
「あまり、思いつめすぎるのも良くない。俺たちにも、相談していい」
気合いを入れ直すように頬をパチンッと叩く私に、つっくんは優しい言葉をかけてくれる。
「ありがとう、つっくん」
私の親友は、やっぱり今日も優しい。
一人なら、きっと悲しくて耐えられなかったよ……。
傍にいてくれる2人に感謝していると、「お!いたいた!!」と言って、こちらに走ってくる人がいた。