両手いっぱいの花束をあなたに


「どうして……っ」


「颯みたいに、上手いだからこそ、抱えてるプレッシャーがあるんだろうな。それに気づいてやれなかったのは、キャプテンである俺の責任だ」



滝川くんは、少し落ち込んだように、声に覇気がない。

そんな滝川くんの肩に、篠田くんが手を乗せた。


 
「颯は、あの時の事を、自分のせいだと思ってんだよ」



篠田の言う"あの時"は、たぶん颯がジャンプボールで初めて黒崎くんに負けたり、最後のゴールを決められなかった事だろう。



「颯が背負ってるモンは、本来俺たちも背負うべきモンだ。俺たちは、チームなんだぜ、颯一人で戦ってるわけじゃないって、アイツは分かってねぇ」


俺がなんとかしなきゃって、思ってるのかな……。

1年生からレギュラーで、先輩にも頼られてるから、颯は相談したり頼ったりできなかった??



「颯のバカ、あいつ一人で抱え込みやがって…」


「颯、今はショックが大きくて、何も見えないんだと思う」


だって、颯が言ってた。


『最後の、あのシュートする瞬間……』


『俺の手が、仲間から勝利を奪った感覚が……消えねーんだ…っ』


あの時、自分の手を見つめて、ひたすらに悔しそうに、絶望したような顔を忘れられない。



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