両手いっぱいの花束をあなたに
放課後、私は美緒に先に帰ってもらい、颯を探していた。
「颯、どこ行っちゃったんだろうっ」
私はというと、一年生の廊下を走っている。
教室にもいない、体育館もいない……。
帰るには、早すぎるような……。
「颯ー!!」
「えっ!?」
廊下を走っていると、窓の外から颯を呼ぶ声が聞こえた。
私は足を止めて、周りをキョロキョロとした。
「これから、カラオケ行くだろー?」
鞄を持って、すでに校舎を出ている颯の姿が見えた。
私は慌てて、下駄箱へと向かい、靴を履き替えた。
「颯くん!私たちも一緒に行くんだけどぉ、良いかなぁ?」
「あぁ」
「颯くんとカラオケとか、すっごく嬉しい!」
靴を履いて駆け寄ると、颯は女の子に囲まれているのが見えた。