両手いっぱいの花束をあなたに


「行こうぜ、颯!」

「おー」


そう言って歩き出してしまう颯達に、私は思いきって声をかけた。


「ちょ、ぜぇーっ、と、待ったぁぁっ!!」


「「「「!!」」」」


私の声に、その場にいた全員が振り返る。


「は、花音??」


すると、私に気づいた颯が、驚いた顔で私を見つめた。


「ぜぇっ、はぁーっ」


運動得意じゃないのは分かってたけど、まさかこんなに体力無いとはっ……。


ゆっくりと深呼吸して、呼吸を整えると、私は颯の前に立った。


「颯、こんなとこで何してんの!」

「え、あ??」


ズイッと颯に顔を近づけて、むくれる私に、颯はただ驚くばかり。


たぶん、どうしてここに私がいるの?とか、色々状況が頭で処理しきれなくなってるんだと思う。



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