両手いっぱいの花束をあなたに
「結婚してください」
静かに、そして噛み締めるように伝えられた。
つい数秒前まで顔も知らなかった、颯くんから衝撃の一言。
そして、バサッと目の前にポピーの花束が差し出される。
ーあれ、私、今告白……いや、プロポーズされた?
それは、突然に訪れたプロポーズ。
頭が軽くパニックを起こしていて、フリーズする。
「一目ぼれでした。あなたが好きです」
「っ……」
ー名前も知らないのに。
ー恋なんてした事ないのに。
トクンッと、胸が高鳴るのを感じた。
この気持ちがなんなのか、分からないけど…。
そっと両手で胸を押さえる。
颯くんの、その真っ直ぐな瞳に、その瞳から伝わる優しさに、なぜかとてもトキメキを感じた。