両手いっぱいの花束をあなたに
「お、おい花音……っ」
「颯は、どんなに颯の存在が必要とされてるか、知らないんだよ」
颯の手を引きながら、私は外から回り込んで、体育館へと向かう。
「俺は、あんな大事な場面で、シュート外したんだぞ?」
「颯は、一人でバスケしてるんじゃないでしょ?」
「それは……」
「颯が、チームにとって、どれだけ大切な人か、これから教えてあげる」
私は颯を引きずって、体育館まで来る。
「行こう、颯」
そして、体育館を前に立ち尽くす颯に、靴を脱ぐように言って、無理矢理中へ入る。
「花音………」
不安そうな声に、私は振り返って笑みを向けた。
「颯、何も怖くない。大丈夫だよ!」
繋いだ手を、少しだけ強く握って見せた。
「あぁ……」
すると、颯は少し安心したように頷いた。