両手いっぱいの花束をあなたに


「俺たちは、全員でバスケやってんだ。チームで、颯は一人じゃねぇーんだぞ」


「陸先輩……」


「颯、お前はこのまま、バスケ辞めても良いのか?」


「俺は………」



滝川くんの言葉に、颯は俯く。


「颯、あの黒崎って奴の言葉を思い出せ」


「……あの、ヤンキー野郎の言葉……あれは、忘れようとしても、忘れられねぇーっすよ……」


そう言って、ギリッと奥歯を噛み締める颯。


黒崎の言葉って……。


『本当の強さってのはな、絶望から這い上がる事の出来る奴が持ってんだよ。お前にはねーのか、ガッカリだぜ』


そうだ、黒崎くんは、颯と同じように落ち込んで、バスケが嫌いになった事があるって言ってたな。





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