両手いっぱいの花束をあなたに


「お前はうちのエースだぞ、勝手に抜けられたら困んだよ!」

「颯、いいから練習しようぜ!!」


「今日からビシバシしごくからな!!」


チームのみんなが、颯の背中をバシバシ叩く。


「ウッス!!」


颯は、少し涙を滲ませて、嬉しそうに笑った。

その顔を見て、私まで嬉しくなった。


「早くユニホーム着替えろ、俺の背中を預けられるのは、お前と真南斗だからな!」


「陸先輩……っす!!」


笑顔の颯。

私、ずっとずっと、この顔が見たかったんだ。

颯、このまま練習していくよね、なら私は……。


そっと、その場を離れようとする私の腕を、颯が掴んだ。










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