両手いっぱいの花束をあなたに


「颯……」

「花音っ、俺っ……」


何か言いたげに言葉をつまらせる颯に、私は笑みを浮かべる。

颯、颯に話したい事……たくさんあるよ。


でも、今は何より、颯にバスケを楽しんでほしいから…。


「誰よりも、颯を応援してるよ」


「っ……サンキューな、花音!!」


笑顔を浮かべる颯に背を向ける。


颯が、笑ってくれた。


それだけなのに、こんなにも嬉しくて……。


ポロッと、涙を流したのは、誰にも秘密。








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