両手いっぱいの花束をあなたに



そう、颯くんは、ちょっと恥ずかしそうに、両手いっぱいのポピーの花束を私に差し出す。


「ポピーだ………」


鮮やかな赤、ピンク、オレンジ、黄色、白のポピーが、ゆらゆらと春風と共に揺れる。


私は、そっとそれを受け取って、胸に抱き締める。


「いつも、花ばっか見てたし……その、ポピー…だっけ、いつも先輩、ここで見てたから……好きなのかと、思って」


「私が……好きだから……?」

「っ!!そ、そう……っすよ………」


それはもう、照れ臭そうに後頭部に手をあて、私を見つめる颯くん。


プロポーズの言葉と共に贈られた、ポピーの花言葉は、『7色の恋』。






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