両手いっぱいの花束をあなたに
「だってよ、夏休みだってのに、女がわんさかいて、席が無くなりそうだったんだよ」
「あぁ……それ、颯のファンの子だよ」
ファンの子には、夏休みなんて関係ないもん。
年中颯の事追っかけてるし。
って、私も今じゃファンの子達と変わらないのかも……。
颯がバスケに打ち込むようになってから、連絡もとってないんだよね。
颯がまたバスケを楽しめるようになったなら嬉しい。
インターハイまてもうすぐだし、私も応援したい。
でも、やっぱり寂しいのは、寂しい。
言葉にはしないから、心の中で呟くのは許してほしい。
「芸能人か、チョコレート頭は!」
「本当だね」
驚いている黒崎くんに、私は笑ってしまう。
「偵察、私は変装しなくていいのかな?」
まぁ、したところで黒崎くんはバレバレだけどね。
変装が逆に注目を引きそうだよ。