両手いっぱいの花束をあなたに



「「「キャーーッ!!」」」


すでにファンの子達の歓声で、体育館は盛り上がっている。


颯達は、部活のメンバーを半分に分けた試合形式の練習をしていた。


「ほら、花音ここ座れ」

「ありがとう」


黒崎くんに促されて、私は席へと座る。

そして、コートを全力で駆け抜ける颯の姿を見つめる。


「颯ーっ!!」

「うッス!!」


篠田くんからパスされてボールを、颯がシュートする。

そして、それはブレる事なくゴールへと入った。


「「オォーーーッ」」


歓声が上がり、仲間に肩を叩かれている颯。


ーバシッ!!


「颯、ナイスシューッ!!」


「痛っ!!陸先輩、加減してくださいよ!!」


そう言いながらも、嬉しそうに笑う颯。

颯……前よりすごくイキイキしてる!!

良かった、ちゃんと楽しめるようになったんだね……。



「良かった……っ」


不思議、颯のあんな楽しそうな姿みたら、なんか泣けてきたぁっ。




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