両手いっぱいの花束をあなたに
「…………私だって……」
颯の彼女なんだし、傍にいたい。
でも、颯は苦しんでる時、一人にしてほしいって、私を遠ざけた。
だから、遠くから見守ろうって、気持ちを押し殺して我慢してきたんだよ……?
「ずっと傍にいたいって思ったよ!!」
「!!」
怒鳴ると思ってなかったのか、颯が驚いたように私を見つめる。
でも、もう止められなかった。
気持ちが、次から次へと、洪水のように溢れる。
「でも、私が傍にいると、颯が辛そうにしたから!!なのに、彼女だろって……っ」
そんなの、勝手だよ!!
私だって、颯の事、もっと近くで支えたかったよ!!
あぁ……颯の前では、良い子でいたかったのにな…。
こんな事言って、きっと嫌われちゃう。
「花音、ごめ………っ」
「ごめん、黒崎くん。……今日は、帰るね」
私は、キャップを脱いで、黒崎くんに押し付ける。
「お、おぉ……花音、大丈夫かよ?」
「うん、ありがとう……また、連絡するね」
そう言って、作り笑いを浮かべて、鞄を肩にかけた。
「花音待て!!話をっ」
「ごめんね……今は、ちゃんと話せる気がしないっ」
泣きそうで、震える声でそう答えた。
そして、その場から逃げるように、体育館を飛び出すのだった。