両手いっぱいの花束をあなたに
「お前だって、あのマネージャーと仲良くしてただろうが」
「マネージャーって、育先輩か??はっ!?それは誤解だぞ」
俺と育先輩の事を心配してんのか??
育先輩は、ばすけぶのマネージャーってだけだ。
それ以下でも以上でもねぇーし。
「それが誤解だとしてもな、花音は不安だったんだよ。今のお前みてーによ」
「今の、俺みてぇーに……?」
「お互い、好きだから不安になって、すれ違っちまってんだよ」
好きだから、すれ違って……。
大切なのに、大事にしたいと思うほど、花音を遠ざけちまう。
俺には、花音だけなんだよ。
後にも先にも……お前しか、見てねぇーよ。
「って、なんで俺はライバル励ましてんだぁっ!!」
「ライバルって……お前な」
「バスケも恋も、お前は俺のライバルなんだよ!!だけどな、惚れた女が幸せになってほしいからだな!!」
捲し立てるヤンキー野郎に、俺はなんだか気持ちが少し楽になった。
話を、聞いてくれたからか?
あの時、バスケに絶望した俺を、コイツだけは慰めなかった。