両手いっぱいの花束をあなたに



「ありがとよ………」


「…………あ?」


ヤンキー野郎……こいつの言葉があったから、また戦おうって思えたし、花音の為とはいえ、こうして話を聞いてくれてる。



「ライバルだって、認めてやるって言ってんだ、雷牙!」


「っ!!な、なんで上から目線なんだよ、チョコ……颯!!」


俺たちは、何でか恥ずかしくなり、同時にプイッと視線を反らした。



「花音がまた泣いてたら、俺がかっ拐うかんな!!」


「お前にはやんねーよ、雷牙。花音は、俺の大事な人なんだよ、誰にも渡さねぇ」



花音、傷つけて悪かった。


だけど、お前を諦めるのも、手放すのも……無理だ。



恋を越えて、愛情に変わったこの気持ちは、もう花音以外の誰にも、湧かない感情だからな。


「颯ー、そろそろ午後練始まるぞ?って、あれ、野木さんは?」


俺を呼びにきた真南斗先輩が、不思議そうな顔をする。


「真南斗先輩、ちょっと抜けていいっすか?用事済ませたら、すぐに戻ってくるっス!!」


今すぐ、花音の事追いかけねぇーと。


そんで、ちゃんと俺の気持ちを伝えなきゃ、花音との関係がこれでダメになるとか、死ぬ!!



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