両手いっぱいの花束をあなたに


「用事なら、部活終わった後にしろよー!今度は、俺と勝負すんだろ、颯ーっ」


すると、陸先輩が後ろから俺の首を絞める。 


「死活問題なんっスよ!!」


俺は、その腕から抜け出して、抗議した。


つか、早く追わねぇーと、花音が帰っちまう!!


「………早く行ったほうがいいわよ。颯にとって野木さんの事は、バスケへのモチベーションに関わるし」


すると、そこに助け船が出された。


相変わらずのキリッとした真面目な顔でそう言ったのは、うちのマネージャー、育先輩だ。


「アザっス、育先輩!!」

「行ってらっしゃい、颯。でも、練習はちゃんと戻ってくるように」



そう言った育先輩が、小さく笑みを浮かべる。

育先輩、こんな風に笑うんだな。


いつでも俺たち部員の事を考えてくれた育先輩。

この時、本当に心から感謝した。



< 313 / 351 >

この作品をシェア

pagetop