両手いっぱいの花束をあなたに
「用事なら、部活終わった後にしろよー!今度は、俺と勝負すんだろ、颯ーっ」
すると、陸先輩が後ろから俺の首を絞める。
「死活問題なんっスよ!!」
俺は、その腕から抜け出して、抗議した。
つか、早く追わねぇーと、花音が帰っちまう!!
「………早く行ったほうがいいわよ。颯にとって野木さんの事は、バスケへのモチベーションに関わるし」
すると、そこに助け船が出された。
相変わらずのキリッとした真面目な顔でそう言ったのは、うちのマネージャー、育先輩だ。
「アザっス、育先輩!!」
「行ってらっしゃい、颯。でも、練習はちゃんと戻ってくるように」
そう言った育先輩が、小さく笑みを浮かべる。
育先輩、こんな風に笑うんだな。
いつでも俺たち部員の事を考えてくれた育先輩。
この時、本当に心から感謝した。