両手いっぱいの花束をあなたに


だけど、颯から聞かされたのは……。


『………悪い、今は一人にしてくれ』


そう言って遠ざかる背中。

振り払われた手を、今でも覚えてる。


私の事は嫌いになってもいい、バスケの事は好きでいて……なんて、綺麗事を思った。


だけど……嘘。


颯、本当は私を頼ってほしかった、好きでいてほしかった、せめて、傍にいさせてほしかった。


「彼女だよ……だからこそ、傍にいさせてほしかったのに…っ」
 

そして、ついにしゃがみこんだ。

もう、辛くて立っていられなかった。


廊下のど真ん中でしゃがみこんで、両手で顔を覆う。


夏休みだし、こんな所を通る生徒はそうそういない。


だから、ここで泣きわめいても良かった。






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