両手いっぱいの花束をあなたに


「そんな顔して……」


「つっくん、どうして……」


ーここにいるの?


なんて、分かってるのに、そう聞いてしまうのは、何かを話してないと、泣いた理由を聞かれて、また悲しくなってしまいそうで、怖いから。


「生徒会の仕事だ」


座り込む私の前に、つっくんは目線を合わせるように、一緒にしゃがむ。


「そっか………」


言葉が、繋げない。

これ以上、何を言えばいいって言うんだろう。


胸が、痛い。

涙も止まらないし、つっくんにはたぶん、全部お見通しだ。



「大丈夫だ……」


ポンッと、頭につっくんの手が乗せられる。

それが、すごく優しくて、ポロッとまた涙が溢れた。


「何も言わなくていい、だいたい想像がつくからな」


眼鏡をクイッと人差し指で上げて、つっくんは私の手を引いて、立ち上がらせた。


「ずっとここに座ってたら、汚れるぞ。ただでさえ夏休みで、掃除も行き届いてないからな」


「うん……」


パンパンッと、私の服の汚れを落とすつっくん。


美緒とは違って、あまり変わらない表情、初めて会った時は無表情だなと思った。


でも、親友になってからは、つっくんの小さな表情の変化に気づけるようになったっけ。

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