両手いっぱいの花束をあなたに
「颯くんの事、もっと知りたいから…。まずは、お互いを知るために、付き合ってみませんか?」
何も知らない。
ついさっきまで、名前も顔も知らなかった。
だけど…なんでか、颯くんにプロポーズされた瞬間から、心臓が騒がしい。
「お互いを知るために……」
「私の事も、もっと知ってほしいな」
「っ!!も、もちろんっす……つか、超嬉しいです。絶対、好きって言わせてみせるんで、覚悟してください!」
すごく照れ臭そうに、それでいて強い意志のこもった一言に、私は「ふふっ」と笑う。
「はい……よろしくお願いします、颯くん」
「こちらこそ、よろしくお願いします、先輩!」
私達は、笑顔で見つめ合う。
素敵な恋を予感させる颯くんとの出会い。
そう、これが9時間前、私の運命の日の始まりだった。