両手いっぱいの花束をあなたに


「………颯くん、何か用事か」


グッと、私を抱き締めるつっくんの腕に、力が入った気がした。


つっくん……?

不思議に思って、私はそっとつっくんの顔を見上げた。


無表情なのに、そのポーカーフェイスの中に、小さな怒りを見つけたような気がした。


つっくん、なんで怒って……。


「花音に、話したい事があります」

「っ……」


颯が、私に話したい事って……。

何だろう、聞かなきゃいけないはずなのに、聞くのが怖い。


あんな事言っちゃったし、颯の顔が見れないよ……。



「俺は、花音を大事に守ってきた。花音が幸せならいい、でも…泣かせるなら、颯くんに花音はあげられない」


つっくんは、もともと低い声だけど、今日はさらに低い気がした。



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