両手いっぱいの花束をあなたに



「傷つけたのは事実っス、本当に、すみませんっした!!だけど、花音と離れるなんて、考えられねぇ…っ」


颯……。


颯と離れる……それは、私にとっても、無い選択肢。


颯のいない未来なんて、絶対に考えられないよ……。


「一度は遠ざけて、今度は傍にいろなんて……都合良すぎはしないか。その度に花音を振り回すな」


「っ……本当、その通りっすね……」


颯、すごく苦しそうな声……。

それに、私まで胸が締め付けられて、苦しい。


「なら、もう一度花音に彼氏だって認めてもらえるように、もう一度チャンスをくれませんか」


「チャンス……?」


「はい!花音も、聞いてくれ……っ」


その言葉に、私はそっと顔を上げる。

そして、私の顔を見た途端、切なそうに顔を歪めた。

  

「俺、バカだから、バスケでしか、本当の俺を見せる方法が、分からねぇんだ。だから、インターハイで、花音が安心出来るくれぇ強い男だって、証明する!!」


「颯………」


「あんな、みっともねぇ姿は二度と見せねぇ。だから、もう一度俺にチャンスをくれ、花音」


颯……。


チャンスなんて、私は颯の事をずっと好きなんだよ。

勝手も負けても、私には颯しかいない。


「そんなのっ……ん!?」


そう言おうとして、つっくんに手で口を塞がれる。

驚いてつっくんを見ると、つっくんは私に耳打ちした。


 




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