両手いっぱいの花束をあなたに



「っし!!」


そして、颯は得意のダンクを決めた。


相手チームも、見学している選手も、颯達の圧倒的な強さに、圧倒されている。



「絶好調だな、颯!!」


「まだ、通過点っスから……」


篠田くんに背中をバシッと叩かれる颯は、真剣な顔で、滝のように流れる汗を拭っている。


「負けられねぇ……この大会だけは」


そう言って、颯が観戦席にいる私を見上げた。


颯……私、ちゃんと分かってる。


ここ戦いは、颯にとっても、私にとっても、譲れない、負けられない戦いなんだって。



颯……私は、颯が強くても、弱くても、どっちでもいいんだ。


だけどね……つっくんも言ってたけど、この戦いが、颯を強くしてくれるのなら…。


私が、颯の力の原動力になれるなら…。

颯が私に見せようとしてくれている、『証』を見届ける。



遠くで、見つめ合っていると、颯は二ッと笑って、私に、ピースサインを向けた。


「颯っ……もうっ……」


あのサインは、「絶対に勝つ」サイン。

私は、立ち上がって、颯にピースサインを返す。








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