両手いっぱいの花束をあなたに



「俺は………」


颯は、ゆっくりと、天を仰ぐ。


「やっと、乗り越えられたのか……っ」


そして、ツゥゥッと伝う涙も拭わずに、笑みを浮かべる。


その笑顔は、あの苦しんでいた日々が嘘のように清々しくて、やりきった笑顔だった。


「颯、お前なーに泣いてんだよっ!!」


「うるさいっスよ!!これは……目から出る汗っス!!」


「青春ドラマの見すぎか!!」


篠田くんは颯の首に腕を回して、からかう。


「お前は、俺たちの希望だ」


「真南斗先輩……違うっス。俺を照らしてくれた希望が、先輩達、チームのみんなだった。ここまで、一緒に戦えて、本気で……っ」


そう言いながら、泣き止まない颯に、チームの仲間が「ワッ」と笑った。





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