両手いっぱいの花束をあなたに
「颯、楽しかったぜ」
そう言って、颯に握手を求める黒崎くん。
颯は、その手をとって笑った。
「お前には、感謝してる。雷牙は、俺の根性を叩き直してくれたからな」
「ハッ、明日は槍が降んぞ。勘違いすんなよ、今度はウインターハイがあっから、そこでは俺たちが優勝に決まってら!!」
腕を組んでふんぞり返る黒崎くんに、颯は不敵に笑う。
「お前こそ、勘違いすんなよ。感謝はする、でも優勝はさせねぇし!!」
颯は強気にそう言い切って、黒崎くんの肩を軽く叩いて、背中を向けた。
「俺以外に負けたら、承知しねぇぞ!ライバルさんよ!」
「っ!!……ハッ、お前もな!!」
颯と黒崎くんは、お互いにそう言って、それぞれチームの待つベンチへと帰って行く。
歩いていく先は反対、それでも、お互いを意識してる、向かう場所のベクトルは向き合ってる。
2人は、似たもの同士なんだ。
だからこそ、悪態をついてるのに、笑顔でいられる。
そんな関係は、女子にはない感覚だから、羨ましいな。