両手いっぱいの花束をあなたに



「今はさ、お互いの事、すげぇ分かってると思うんだよ。たとえば、花音は花の事になると、すげぇ喋る…とか」


「颯は、バスケの事になると、子供みたいになるとか!」


「え、俺そんなんなの?やべ、恥ずかしいんだけど。あとは、花音の笑顔はめちゃくちゃ可愛い!」



「っ……それは無い!颯は、雨の中、私の大好きな花を植え替えてくれたり、ファンの子に囲まれたとき、助けてくれて……すごく、優しいよね」



上げたら、キリがないほど、相手を知った。


相手を知れるほど、たくさん思い出ができた。


その中には、辛くて悲しいものもあったけど、どれも颯との思い出なら、大切だ。



「俺さ、バスケで悩んでたんだ。バスケは好きでも、好きなだけでやっていける世界じゃねぇーって、不安だった」


「うん……」


「でも、花音が教えてくれたんだ。俺は、一人で戦ってるんけじゃねぇ、傍にはいつだって仲間がいるんだって」


「うんっ!!」


それが、何より私の伝えたい事だった。


落ち込んで、また立ち上がれなくなっても……。


手を差しのべてくれたり、背中を支えてくれたり、勇気をくれる一言をくれたりするのは、仲間だ。





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