両手いっぱいの花束をあなたに
ーよし。
「ごめん、颯くん。デートは出来ない」
「っ……そう、すか……」
明らかに落胆した颯くんに、私は慌てて言葉を修正する。
「あっ…違う!えーと、えと……」
「違うって……先輩?」
不思議そうな、不安そうな顔で私を見つめる颯くんに、私は戸惑う。
そういえば、私って美緒といっくん以外とあまり話した事ないんだった。
2人とは付き合いが長いから、私の言葉が足りなくても、察して声をかけてくれる。
あとは、花だけが私の話し相手だった。
会話は、あまり得意じゃない。
でも、颯くん、すごく不安そうな顔してる…。
ちゃんと、ちゃんと安心してもらえるように話さないと…。