両手いっぱいの花束をあなたに


「わ、私の家は花屋で」

「えっ、先輩の家って花屋なんすか?」

「うん、その手伝いがあって……」

「………ああっ!」


そこで、何かに気づいたのか、颯くんが納得したような顔をする。


「だから、行けないって言ったんすね。良かった、嫌われたかって不安になって」


「言葉足らずでごめんね」


「いえ、俺が察せなかっただけっすから。それに、頑張って説明してくれたの…嬉しかったっす!」


そう言って二ッと笑う颯くんに、私は目を奪われる。

「!!」


わ…あ……。

颯くんって、こんな風に笑うんだ……。

明るくて、温かい、向日葵みたい。



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