両手いっぱいの花束をあなたに
もっと颯くんを知りたいな…。
傍にいたら、色んな颯くんに出会えるのかな?
「颯くん、それなら、一緒に帰るのはどうかな?」
颯くんは自転車で、私は歩きだから、必然的に颯くんを歩かせる事になっちゃうけど…。
「少しの時間でも、一緒にいたいって思ったから…」
「っ、えっ!?」
真っ赤になる颯くんに、私まで、なんだか顔が熱くなってきた。
あれ、今日ってこんなに熱かったかな??
「あっ…でも、歩くのが嫌なら…」
「俺も、先輩と帰りたいから!!」
私の言葉を遮って、颯くんはそう言い切った。
それに、私はまたドキドキと心臓が騒がしくなるのを感じていた。
「じゃあ、美緒。また明日ね」
「な、何がなんだか………」
呆然としている美緒に手を振って、私と颯くんはゆっくりとイチョウ並木を歩き出す。