両手いっぱいの花束をあなたに


「先輩、転ぶから危ねぇって!!……あ」

「おおっ?」

あれ、今颯くんの話し方が……。

何が違かったんだろうと考えると、敬語がタメ語になったんだと気づく。


「あ、ついっ、すんませ……」

「そうか、敬語って変だよね!」


私は、ズイッと颯くんに顔を近づける。

すると、颯くんは驚いたように私を見つめた。


「変って、何が……」

「カップルって、タメ語で話すほうが、自然では?」

「それは、そう……つか、先輩近いっす!!」


耐えきれないとばかりに私の肩を押し戻す颯くんの顔は、林檎みたいに真っ赤だった。


「ねぇ、タメ語にしてみません?」

「そういう、先輩は敬語になってる」

「あっ!」


そう言って、2人顔を見合わせる。

すると、同時に「ぶっ!」と吹き出して笑った。


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