両手いっぱいの花束をあなたに


「俺も………」


いつの間にか、私達は足を止めてお互いを見つめ合ってる。


この、不思議な胸の高鳴りとか、名前を呼んで、その人に近づきたいと思う気持ちが……『恋』なのかも、そう思った。


「花音先輩にそう呼ばれんの、すげぇ嬉しい……」

「っ!!」


あぁ、何だろう。

ドキドキして、込み上げてくる熱い気持ちに、切なくなる。


「いつか、なるべく早く先輩つけずに呼べるようになるから、それまで……待っててほしい」

「っ……うん」


なんだかお互い照れ臭くなって、私達はどちらともなく、一緒に歩き出した。


「ねぇ、なんで……颯は私を好きになったの?公園で会ったのが初めてなのに」


聞くか迷ったけど、やっぱり気になるから聞いてみる。

一目惚れって言ったけど、そういうので恋って生まれるの?


私のこの気持ちが恋なのだとして、それって、こんな風に過ごした時間が少しでも、恋をしたりするのかな?




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