両手いっぱいの花束をあなたに


「男なんて、どうしようも無い生き物なのよ。ね、颯?」

「ヒッ、そ、その通りです……」


でも、俺も男……なんだけど。

お袋、俺にも怒ってんのか!?


「こんなオヤジ、今さら髭なんか剃っても、誰も見ないのにねぇ~?」


ーメキメキメキメキッ


親父に渡すお箸を、お袋は強く握りしめる。

鳴ってはいけない音が鳴っている気がする。


「か、楓?箸を……」

「あぁ、箸ね。はい、どう……ぞ!!」


ーザシュッ!!


そして、お袋はお袋の白いお米の上に、箸を突き立てた。

そのまま、黒い笑みを残してキッチンへと戻っていく。






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