両手いっぱいの花束をあなたに
「入学式のお祝いに、学校へ持ってくの。私は、ガーベラも、好きなんだけど、あの公園に咲いてる、ポピーが1番かな」
微笑みながら、色々話しかけてくる女の子は、本当に花が好きなのか、すごくニコニコしている。
なんだ、すごい癒される…。
入学式のお祝いって事は、先輩か??
「あ、それで…どうして、あなたはここに?」
女の子はハッとしたように、話を戻す。
小首を傾げる姿も、可愛いなと思った。
「道に迷って……入学式なんすけど、すでに遅刻しそうになってて」
トホホと項垂れる俺に、女の子は「ふふっ」とにこやかに笑う。
「大丈夫、ここの細い道を真っ直ぐ行って、道路沿いのイチョウ並木を右に真っ直ぐ行けば学校だよ」
女の子は真っ直ぐに指を指して、方向を教えてくれる。