両手いっぱいの花束をあなたに


「入学式のお祝いに、学校へ持ってくの。私は、ガーベラも、好きなんだけど、あの公園に咲いてる、ポピーが1番かな」


微笑みながら、色々話しかけてくる女の子は、本当に花が好きなのか、すごくニコニコしている。


なんだ、すごい癒される…。

入学式のお祝いって事は、先輩か??



「あ、それで…どうして、あなたはここに?」


女の子はハッとしたように、話を戻す。

小首を傾げる姿も、可愛いなと思った。


「道に迷って……入学式なんすけど、すでに遅刻しそうになってて」


トホホと項垂れる俺に、女の子は「ふふっ」とにこやかに笑う。


「大丈夫、ここの細い道を真っ直ぐ行って、道路沿いのイチョウ並木を右に真っ直ぐ行けば学校だよ」


女の子は真っ直ぐに指を指して、方向を教えてくれる。



< 54 / 351 >

この作品をシェア

pagetop