両手いっぱいの花束をあなたに
「ん?花音先輩、何で笑ってんだ?」
「私、今笑ってる?」
尋ねると、颯はコクリと頷く。
そっか、やっぱりニヤニヤしてたか……。
「私も…颯の笑顔が好きだな、と思って…」
「………えぇっ!?」
すると、颯の顔がまたもや茹でタコのように赤くなる。
「颯の笑顔は、向日葵みたいだから」
太陽に焦がれて、どんな時も青空を見上げる、キラキラとした向日葵。
「そ、そうっすか………っ」
「うん!」
焦っていたからか、敬語に戻ってしまった颯に私は笑う。
私は、すごく心が踊っていて、今すぐ、この幸せを誰かに分けたいくらいに幸せな気持ちだった。
颯と並んで帰るイチョウ並木の通り。
それは、いつもよりも葉が青々しく、新鮮に見えて、固いコンクリートの地面も、颯となら、良いかもしれない、なんて思ってしまった。