両手いっぱいの花束をあなたに
私の家の前にたどり着くと、お互いにパタリと会話が止んだ。
そして、向かい合うように見つめ合う。
「お店、俺の家から近いんだな」
「颯くんの家もここら辺?」
「花音先輩の家の1つ前の曲がり角を曲がって真っ直ぐ」
「そうなんだ…じゃあ、また一緒に帰れる?」
これで最後っていうのは、寂しい。
すがるように颯を見上げると、颯は照れ臭そうに私からフィッと視線を反らす。
「あ、あたり前っす、お、俺の彼女…なんだし…」
「良かった……嬉しい」
「うっ!」
私が笑うと、颯は胸を押さえて呻いた。
「は、颯?」
「何もない、大丈夫……」
顔を見ると、顔色も悪くないみたいだし、大丈夫か。
安心して、私はホッと息をはく。