両手いっぱいの花束をあなたに
「あっ、颯、ちょっとここで待ってて!」
「花音先輩?」
私は、ある事を思いついて、急いでお店の中へと入る。
すると、レジでブーケを作っているお母さんと目が合った。
「あら、花音おかえり」
「ただいま、お母さん。ガーベラ、まだあるかな?」
私は、鞄を投げ捨てて、ガーベラのある所へと向かう。
すると、そこにはオレンジのガーベラがあった。
「ガーベラ?花音、それどうす……」
「送りたい人がいるんだ!」
私は、作業台の上で、ガーベラを一輪包装紙で包む。
あの時は、名前も顔も知らない、ただ同じ学校だからって、贈ったガーベラ。
でも、今は私の彼氏で、大切な人。
だから、もう一度……。
1輪のガーベラを持って、私はパタパタと颯に駆け寄る。
すると、颯は驚いたように私を見つめた。