両手いっぱいの花束をあなたに

生まれてからずっと、私の周りには花があった。


誕生日、結婚記念日とか、お祝い事の日や、喧嘩した時も「ごめんね」の気持ちを込めて花を贈る。


花屋なのに、これでもかってくらい、うちの家族は花を、花の贈る意味を大事にしてるんだ。


セントポーリアの花に日課のあいさつをして、私は部屋を出る。


私の部屋は2階で、同じ階にあるリビングへと向かう。


1階は花屋で、openは9時、closeは19:00。


フラワーアレンジもやるので、それなりに繁盛しているから、時間通りに終わる事はあまりない。


皆は7時に起きてきて、リビングで一緒に朝食を取るのが家族のルールだ。


「おはよう、お母さん」

「おはよう花音」


台所にいるお母さんに声をかけて、私は何も言わずに料理をテーブルへ運んでいく。



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