両手いっぱいの花束をあなたに


「花音先輩、どうした?」

「颯と私の未来、一緒に歩んでいきたいから…」


私は、両手で、颯にガーベラを1輪手渡す。

すると、颯は私とガーベラを交互に見つめた。


「ガーベラ、花音先輩が俺にくれた花だ……」


「私たちが歩む先が、希望で溢れますように!」


「っ!!」


笑顔でそう言いきる。

すると、颯はなんだか泣きそうな顔で、私を見た。


「すげー、嬉しすぎて、俺っ……」


すると、颯の目は潤んでいた。

そして、クシャリと、前髪を掴んで、俯く。


「えっ……」

颯、もしかして泣きそうになって……?


「あぁ……」


ー綺麗。

すごく、綺麗な涙だなぁ……。

そっか、颯は嬉しくて、こんな綺麗な涙を流す人なんだ。




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