両手いっぱいの花束をあなたに
「花音先輩、俺、花音先輩の事、マジで好きだ……」
「あっ………」
颯は、顔を真っ赤にして、それでも私から目を逸らさずに、そう言った。
いつの間にか暮れる夕焼け。
この茜が、私の顔を照らしてくれていて良かった。
だって……。
「ありがとう、嬉しいっ」
私は、きっと颯よりも、赤い顔をしているだろうから…。
「嬉しい、とかっ……俺は、胸が苦しいっす」
「え、えぇっ?」
「か、帰るっ。か、花音先輩、その……また、明日っ!」
颯は、そう言って照れ臭そうな顔で自転車を方向転換させて、ペダルに足をかける。
今にも駆け出しそうな颯の背中に、私はクスッと笑った。
どうやら、颯くんはカッコよくて、みんなの人気者なのに、すごく照れ屋さんらしい。
「颯くん、また明日!!」
「………うす!」
颯は、少しだけ私を振り返って、片手を上げる。
そして、自転車を漕ぎ出した。
「ふふっ」
また明日ね、颯。
明日は、また違う颯に会えたらいいな。
それで、もっともっと颯の事を知っていきたい。
私達は、この先もきっと、同じ未来を歩んでいるはずだから…。