両手いっぱいの花束をあなたに


「ねぇ、ねぇ野木さん!」


すると、クラスの恋愛マスター……というか、単に付き合った彼氏の人数が多くて、経験も豊富だという関口 茜(せきぐち あかね)が私に声をかけてきた。


普段は、席を立たずに、女子達の恋バナの相談を受けてるのに…。


クラスの、恋愛相談窓口が、目の前にいる。


「茜姉さん、ついに行ったよ!!」

「聞きたくてウズウズしてたし、私も混ざろうかなぁ」


何やら、今日は教室がおかしい。

特に、女の子達がサワサワして、落ち着かない感じ。


「茜姉さん、何か用事?」


私はまだ朝のボーッとする頭で、クラス共通の関口 茜のあだ名で名前を呼んだ。


なんでも、胸元まである栗色のクルクルと巻かれた髪や、艶々のリップグロス、しっかりと巻き上げられた睫毛やらが、大人っぽくて、茜ちゃん…と呼ぶのはおこがましく、茜様だと遠いので、親しみを込めて、茜姉さん、で定着した。






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