両手いっぱいの花束をあなたに


「おはよう、お父さん」


私は目玉焼きとウインナーの乗った皿をテーブルに並べながら、トーストを焼くお父さんに声をかけた。



「おお、おはよう花音。今日も眠そうだな」


お父さんは苦笑いを浮かべながら、テーブルに置かれた皿へとトーストを並べていく。


そう、これも日課。


我が家は、朝食だけはみんなで作る、そう言うルールがある。

それは、必ず家族が一緒にいられる時間を持てるようにと、お母さんとお父さんが結婚する時に決めた事らしい。


「あなた、花音がボーッとしてるのは、いつもの事よ。こんなにほわほわしていて、大丈夫かしら?」


「女の子はほわほわしてるくらいがちょうどいいんだよ、母さん」


こんな会話も、何回聞いたか分からない。


うちは、きっと世界中で1番幸せな家族だって胸を張れる。


いつまでもラブラブな2人を見ていると、2人の子供で良かったなぁって、思うんだ。




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