両手いっぱいの花束をあなたに
「行ってきます」
花屋の『open』の看板を出すお父さんに声をかける。
「気をつけるんだぞ、行ってらっしゃい」
お父さんはそう言って優しく笑いかけてくれた。
すると、バタバタと店の奥からお母さんが走ってくる。
「花音、お弁当忘れてるわよ!」
「あ……」
そう思って自分の鞄を確認する。
すると、やけにガラガラで、軽い。
そっか、私、大事なご飯を忘れてたんだ。
「まったく、この子は……気をつけなさいね」
「ありがとう、お母さん」
困った顔をするお母さんからお弁当をもらって、今度はしっかりと鞄に入れる。
時刻は08:09。
スマホで確認をして、少し早足で歩いた。
これから、8分ほど歩いてバス停に向かう。
そのバスは、08:20発なので、少しぎりぎりだ。