両手いっぱいの花束をあなたに
「いつも、この窓から花音先輩見る度に、どんどん好きになってて……苦しかった」
「は、颯っ……」
こんな所、他の生徒に見られたらと思うと、ハラハラしてしまう。
だけど、それ以上に、颯の腕の中にいたい、もっと触れていたいって、思った。
ザワザワと、廊下から、生徒達の楽しそうな声が聞こえる。
でも、次第にそれを忘れるほど、颯の体温に、意識をもっていかれた。
「見てるだけなんて、もう無理だな…。声を聞けば、話したくてしょうがないし、こうやって触れたら…抱き締めずには、いられねぇっ」
ギュウウッと抱き締める力が強くなる。
苦しい、けど……このまま離れたくないな…。
私は、そっと颯の背中に手を回す。
すると、颯の体が、一瞬ビクッと震えた。