両手いっぱいの花束をあなたに
「颯っ、本当にすご……」
「花音先輩っ、俺、約束守ったから!!」
ーガバッ!!
そう言って、私の言葉を遮ると、思いっきり、抱き上げられる。
「わっ!」
慌てて颯の首に腕を回す。
すると、視界が高くて、いつもより違う世界が、そこにはあった。
「花音先輩の声、ちゃんと届いてた。だから、絶対シュート決めようって思ったんだ」
「それって……」
初めて、颯と一緒に帰った日。
夕暮れの帰り道で、約束してくれた…。
『ダメ……なわないっす!!俺、ぜってぇーシュート決めますから!!』
そっか、颯はその約束を、覚えててくれたんだ。
わぁ……すごく、嬉しい。