両手いっぱいの花束をあなたに


「颯っ、本当にすご……」

「花音先輩っ、俺、約束守ったから!!」


ーガバッ!!


そう言って、私の言葉を遮ると、思いっきり、抱き上げられる。

「わっ!」


慌てて颯の首に腕を回す。

すると、視界が高くて、いつもより違う世界が、そこにはあった。


「花音先輩の声、ちゃんと届いてた。だから、絶対シュート決めようって思ったんだ」


「それって……」


初めて、颯と一緒に帰った日。

夕暮れの帰り道で、約束してくれた…。


『ダメ……なわないっす!!俺、ぜってぇーシュート決めますから!!』


そっか、颯はその約束を、覚えててくれたんだ。

わぁ……すごく、嬉しい。




< 87 / 351 >

この作品をシェア

pagetop