両手いっぱいの花束をあなたに


「って、花音先輩ごめん。俺、汗臭くない?」


「え?」


「汗ダラダラだし、花音先輩の事、汚したら…」


よく見れば、颯は額や首筋からダラダラと汗が流れていた。


わぁ、こんなに汗かいてたら、脱水になっちゃうよ!


「颯、こんなに汗かいたら、干からびちゃう」


「いつもの事だし、俺には花音先輩っていうオアシスがあるっつーか…って、俺は何つう恥ずかしいセリフを!!」


自分で言って、赤くなる颯に、私は笑う。


颯、部活の時は、いつもより口数も多いな。


これが、颯の自然体なのかも。


そう思うと、また颯の知らない一面を見れて、嬉しくなった。





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