両手いっぱいの花束をあなたに


「俺は、滝川 真南斗(たきがわ まなと)。野木さん…だよね。クラス、俺も陸と同じで隣なんだ」


篠田くんと滝川くん、同じクラスなんだ。


自分のクラスでさえ、顔と名前が一致しない人がいるし、隣クラスなんて、全然分からない人ばっかりだ。



「そう…なんだ、私、人の顔と名前覚えるの苦手で。篠田くんは、1年生の時同じクラスだったから、覚えてたんだけど…」


「そうだよな、これからは、颯の彼女なんだし、会う機会も多いだろうから、よろしく」


「うん、よろしくね」


私は、軽く会釈する。

すると、私を抱き上げる颯が、何かに気づいたように体の向きを変えた。


「花音先輩の友達?」


颯に言われて、私はすっかり美緒の事を忘れていた事を思い出す。

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